企業には、お金を儲けるゴールがあります。それを達成するために、人が働きます。弊社の場合には、お客様向けのソフトウェアを作っています。
お客様のニーズがあり、あるプロジェクトが発生すると、そのプロジェクトの中で、弊社が果たさなければならない役割が規定されます(RACIと呼ばれるResponsible(責任者を持つ人/会社)、Accountable(説明責任を持つ人/会社)、Consulted(意見を求められる人/会社、有識者)、Informed(情報を共有しておく人/会社))。
その責任範囲の中での、自社がやるべきことを決めます。そのやるべきことを達成するには、どういう人間が必要なのかを考えて決めます。
プロジェクト・マネージャーが必要、ビジネス・アナリストが必要、ソフトウェア開発をする人が必要、テスターが必要、ステアリング・コミッティーが、全体の意思決定を行うのでメンバー選定が必要、プロジェクトのオーナー、ビジネス全体のスポンサー(どこの予算を使うのか?)が必要など、役割と責任に合わせてプロジェクト推進構造が決められます。
この明確な役割と責任の定義が、アメリカでは当たり前なのですが、日本は非常にあいまいです。日本では、プロジェクト・マネージャーが、ビジネス・アナリスト、ビジネス・コンサルティング、ソフトウェア開発、テストなどに一部を担うことがよくあり、専門性が薄れて、何でも屋になってしまう傾向が強いです。餅は餅屋と言う言葉があるにも関わらず、日本では、素人が餅を作ってしまっています。
さて、役割が規定されると、その役割を果たすために、だれを使うのがいいのかを考えます。それが適材適所ですが、日本の場合、終身雇用の基盤があり、社内から人材を求めざるを得ないし、社外からの人材調達は、協力会社にお願いすることくらいに留まります。プロジェクト・マネージャーが見つからない場合は、ソフトウェア開発者をプロマネにして、「君、頑張って、やってみてくれ。」と言います。果たして、その人は、プロマネをしたことがあるのでしょうか?プロマネの訓練を受けているのでしょうか?
アメリカでは、プロジェクト・マネージャーの、認定(certification)の仕組みがありますし、ビジネス・アナリストの認定の仕組みも生まれています。
プロジェクト・マネージャーは、プロジェクト・マネージメントの専門家であるのがベストです。専門家は、一番効率よく与えられた仕事をこなします。
アメリカの場合、もし社内に適格なプロジェクト・マネージャーがいないのであれば、社外から探します。不適格な人材を育てている暇は、普通は、ありません。人材派遣の会社、LinkedIn、知人からなど様々なソースから人材を探します。例えば、プロジェクト・マネージャーなら、一週間以内に候補は見つかります。面接によりプロジェクトに合った適格者を探します。6人くらいの候補に面接すると、おそらく2週間~1ヶ月半の間に見つかります。アメリカは解雇を頻繁にしますが、それとは裏腹に労働流動性があります。2週間前に退職届を出せば、確実に今の会社を辞めることができますし、もちろん職を探しているプロジェクト・マネージャーもたくさんいます。
アメリカに来た当初は、日本のやり方しか知らない私には、「人材は、人財」と思い、何故、アメリカは社内の人材を育てないのかと疑問に思っていました。しかし、アメリカ流のこのやり方は、ゴール達成に一番近道のやり方だと現在は思っています。(「人材は、人財」と言う考え方は、アメリカにもありますが、絶対、社内に残って欲しい人と、そうでない人を峻別します。)
残念ながら、日本では労働流動性がないので、同様のことはできません。退職時も、引継ぎなどと言われながら、3ヶ月も残留させられるケースも少なくないでしょう。3ヶ月も待ってくれる受け入れ側の会社は、アメリカにはありません。
餅は餅屋と言う言葉は、もう日本の十八番(おはこ)ではなく、アメリカの十八番となってしまいました。突き詰めれば、アメリカ流になってしまうのだと思います。